A サードパーティのパッケージのインストール

独自のモジュールを書き、PythonのできることをPythonに付属している標準ライブラリよりも拡張している開発者は多いです。Pythonに付属しているpipツールを使えば、サードパーティーパッケージにアクセスできます。pipは、Pythonモジュールの無料アプリストアであるPython Package Index(PyPI)サイトから、自分が使っているコンピュータに、モジュールを安全にダウンロードしてインストールします。本付録では、本書を通じて用いられているパッケージをインストールする方法を説明します。

コマンドライン、仮想環境、パッケージ、モジュールの一般的な説明は、第12章をご覧ください。

pipをインストールする

pipツールの実行ファイルは、Windowsではpip、macOSとLinuxではpip3です。Pythonのバージョン3.4以降ではpipツールが同梱されています。しかし、Linuxのディストリビューションによっては、前もってインストールされていないかもしれません。

pip3をインストールするには、新しいターミナルウィンドウを開いて、Ubuntuその他のDebian系のLinuxではsudo apt install python3-pip、Fedoraその他のRed Hat系のLinuxではsudo yum install python3-pipと入力します。管理者パスワードの入力を求められます。

pipを見つける

pipのフォルダがPATH環境変数に含まれていなければ、pipを実行する前にcdコマンドでターミナルウィンドウのディレクトリを移動しなければならない可能性があります。Windowsならecho %USERNAME%、macOSとLinuxならwhoamiを実行して、まずユーザー名を調べてください。

次に、Windowsなら以下のコマンドを実行します。ユーザー名は自分のユーザー名にして、Pythonのバージョンのフォルダ名はお使いのバージョンに調整してください。

C:\Users\al>cd C:\Users\your_username\AppData\Local\Programs\Python\Python313\Scripts

macOSでは、以下のコマンドを実行します(Pythonのバージョンのフォルダ名を調整してください)。

al@Als-MacBook-Pro ~ %cd /Library/Frameworks/Python.framework/Versions/3.13/bin/

Linuxでは、ユーザー名を自分のユーザー名にして、以下のコマンドを実行します。

al@al-VirtualBox:~$ cd /home/your_username/.local/bin/

これでpipツールを実行できるフォルダにいるはずです。移動する代わりに、第12章の「PATH環境変数」の指示に従って、そのフォルダをPATH環境変数に追加することもできます。

仮想環境からpipを実行する

OSによっては、Python組み込みのvenvモジュールを使って仮想環境を作成して有効化してからでないとpipを実行できないかもしれません。Pythonの学習と実験であれば、すべてのプログラムで一つの仮想環境を用いてもよいでしょう。詳しくは第12章の「仮想環境」をご参照ください。

本書で用いられているパッケージのインストール

サードパーティーパッケージが本書執筆後に変更されて本書のコード例と互換性が保たれないかもしれないので、モジュール名のあとに==をつけて本書と同じバージョンをインストールすることをおすすめします(コマンドラインオプションはイコール記号2つです)。例えば、pip install send2trash==1.8.3を実行すると、send2trashパッケージのバージョン1.8.3 をインストールします。

automateboringstuff3パッケージをインストールすると、互換性のあるパッケージを一度で簡単にまとめてインストールできます。サードパーティーパッケージの新しいバージョンが登場すれば、本書のコード例と互換性がある限り、このパッケージのバージョンを更新します。最新のバージョンのサードパーティーパッケージをインストールしたい場合は、オンラインドキュメントを参照して更新情報を確認してください。

Windowsでは、以下のコマンドを実行します。

C:\Users\al>python –m pip install automateboringstuff3

macOSとLinuxでは、以下のコマンドを実行します。

al@Als-MacBook-Pro ~ % python3 –m pip install automateboringstuff3

Linuxで第23章のPyAutoGUIパッケージをインストールするためには、追加のステップが必要になります。ターミナルウィンドウを開いてsudo apt install python3-tkとsudo apt install python3-devを実行してください。第8章のpyperclipモジュールをLinuxで動作させるためには、sudo apt install xclipを実行してください。管理者パスワードの入力を求められます。

本書の出版時点では、以下のバージョンを使用しています。

beautifulsoup4 == 4.12.3
matplotlib==3.92
openpyxl==3.1.5
pdfminer.six==20240706
pillow==10.4.0
playsound3==2.4.0
playwright==1.47.0
PyPDF==5.0.1
python-docx==1.1.2
pyttsx3 == 2.98
requests==2.32.3
selenium==4.25.0
send2trash==1.8.3
xmltodict==0.13.0

automateboringstuff3パッケージでは、これに加えて、以下のパッケージの最新版をインストールします。

bext
ezgmail
ezsheets
humre
pyautogui
pymsgbox
pyperclip
pyperclipimg
yt-dlp

Playwrightパッケージでは、モジュール用のブラウザをインストールするというステップも必要になります。automateboringstuff3パッケージをインストールしてから、playwright installを実行してPlaywrightが使うブラウザをインストールしてください。

第22章で取り上げたpytesseractパッケージと第24章で取り上げたopenai-whisperパッケージは、サイズが大きく、インストールしたくない人がいるかもしれませんから、automateboringstuff3パッケージには含めませんでした。Windowsなら以下のコマンドを実行してインストールできます。

C:\Users\al>pip install pytesseract==0.3.10
C:\Users\al>pip install openai-whisper==20231117

macOSとLinuxなら以下のコマンドを実行してインストールできます。

al@Als-MacBook-Pro ~ % pip3 install pytesseract==0.3.10
al@Als-MacBook-Pro ~ % pip3 install openai-whisper==20231117

Windowsをお使いでしたら、Whisperをインストールする際に次のようなエラーが表示されるかもしれません。

A module that was compiled using NumPy 1.x cannot be run in
NumPy 2.0.1 as it may crash

pip install "numpy<2"を実行してNumPyをダウングレードすればこの互換性問題を解決できます。ダブルクォートを忘れないようにしてください。

以下のコマンドを実行すると、Whisperパッケージが、お使いのコンピュータのNVIDIAのグラフィックカード(GPU)を利用して音声認識を高速で実行できるようになります。

C:\Users\al>pip install torch torchvision torchaudio --index-url 
https://download.pytorch.org/whl/cu118

お使いのコンピュータにNVIDIAのGPUがなければ(MacBookにはありません)この機能は使えません。